
家づくりで最初にぶつかる関門が土地探しです。間取りや設備は後からでも考え直せますが、土地だけは買ってしまうと動かせません。だからこそ、見るべき観点を先に押さえておく必要があります。
土地を見る観点は、大きく4つに分かれます。法規制、形、方位、周辺環境です。このうち法規制と形は、建てられる家そのものを縛ります。方位と周辺環境は、住んでからの暮らしやすさを決めます。順番に見ていきます。
観点1 法規制 ― その土地に何が建てられるか
同じ広さの土地でも、建てられる家の大きさは土地ごとに違います。土地には「ここにはこういう建物を建てていい」というルールが決まっているからです。
用途地域
その地域を住宅用、商業用、工業用などに区分したものです。住宅向けに指定された地域ほど、建てられる建物の高さや種類に制限がかかります。制限が厳しいというのは、裏を返せば周囲に大きな建物が建ちにくいということです。静かさを求めるなら、制限が厳しい地域のほうが読みやすくなります。
建ぺい率と容積率
建ぺい率は、敷地のうち何割まで建物で覆っていいかの割合です。容積率は、敷地に対して延べ床面積を何割まで取っていいかの割合です。この2つで、建てられる家の広さの上限が決まります。
「土地は広いのに、思ったより小さい家しか建たない」という食い違いは、ほぼここが原因です。土地を見るときは、面積より先にこの2つの数字を確認してください。
高さの制限
隣の家の日当たりを守るために、建物の高さや形に制限がかかることがあります。斜めに削られたような屋根の家を見かけることがありますが、あれはこの制限に合わせた形です。2階建てでも、間取りによっては影響が出ます。
接道の条件
建物を建てるには、敷地が一定の幅の道路に接している必要があります。接し方が足りない土地は、家を建てられません。ごくまれにそういう土地が売りに出ていることがあります。安く見えたら、まずここを疑ってください。
観点2 形 ― 使える面積と使えない面積
土地の面積がそのまま使えるわけではありません。形によって、使える部分と死んでしまう部分が出ます。
- 整形地(四角い土地)… 間取りの自由度が高い。無駄が出にくい
- 旗竿地(細い通路の先に敷地がある形)… 通路部分が建物に使えない。奥まっているので静かではある
- 角地(二方向が道路に面する)… 日当たりと風通しが取りやすい。一方で人目と音は入りやすい
- 傾斜地(高低差がある)… 造成の工事が必要になる。眺望が取れることもある
見落とされやすいのは高低差
道路より敷地が高い、あるいは低いという土地があります。平らに見えても、数十センチの差で擁壁や階段が必要になります。これは建物の工事とは別の工事です。土地を見に行ったら、道路との高さの差を必ず見てください。
間口の広さ
道路に面している幅のことです。ここが狭いと、駐車場の取り方が限られます。車を2台置きたいのに縦列しか取れない、というのはよくある話です。車の台数が決まっているなら、間口は先に確認する項目になります。
観点3 方位 ― 日当たりは方位だけでは決まらない
南向きが良いとされますが、方位だけを見ても日当たりは分かりません。実際に効いてくるのは、南側に何があるかです。
- 南側が道路 … 日当たりが安定する。将来も建物が建たない
- 南側が空き地 … 今は明るいが、建物が建つと変わる
- 南側が平屋 … 今は明るいが、建て替えで変わる可能性がある
- 北側道路 … 南側に庭を取れる。道路からの視線は入りにくい
北向きの土地が必ず暗いわけでもありません。南側に空間が確保できていれば、十分に光は入ります。方位そのものより「南側に何があって、それが将来変わるか」で考えるほうが実態に合います。
風の抜け方も見ておく
日当たりに比べて忘れられがちですが、風が抜けるかどうかで夏の過ごし方が変わります。四方を建物に囲まれた土地は、窓を開けても空気が動きません。見学のときは、どの方向から風が入ってどこへ抜けるかを立って感じてみてください。
観点4 周辺環境 ― 時間帯を変えて見る
土地そのものに問題がなくても、周りの条件で暮らしやすさは大きく変わります。
- 通勤・通学の経路を実際に歩いてみる
- 買い物と病院の場所を確認する
- 夜の暗さ、人通りを見ておく
- 平日と休日で、交通量がどう変わるか見る
- 周りに音や匂いの出る施設がないか確認する
一度では分からない
見学は晴れた日の昼間に行きがちです。しかしその時間だけ見ても分かりません。朝の通勤時間、夕方、夜。最低でも2回、違う時間帯に行ってください。昼は静かでも、朝は抜け道になっていて車が多い、ということがあります。
雨の日に行ってみるのも有効です。水の溜まり方で、その土地の排水の状態がだいたい分かります。
見る順番を決めておく
観点が多いので、見る順番を決めておくと迷いません。
- まず法規制を確認する。建てたい家が建つのかを先に判断する
- 次に形と高低差を見る。使える面積と、余分にかかる工事を確認する
- そのあとに方位と周辺環境を見る。暮らしやすさを判断する
- 最後に、違う時間帯にもう一度行く
この順番が大事なのは、前の段階で落ちる土地があるからです。気に入ってから法規制で建たないと分かると、気持ちの切り替えが難しくなります。
土地が絞れてきたら、建て方を決める
土地の条件が見えてくると、次に決まるのが家の建て方です。土地に制限が多いほど、設計の自由度が効いてきます。逆に条件の良い整形地なら、あらかじめ用意された住宅でも無理なく収まります。
つまり土地と建て方は、別々に決めるものではありません。注文住宅と建売住宅の違いを押さえておくと、土地を見ている段階から「この土地ならどちらが向くか」を判断できるようになります。
そしてもうひとつ。法規制や高低差の確認は、素人が図面だけで判断できる範囲を超えます。土地探しから相談に乗ってくれる会社であれば、候補の土地にその家が建つのかを先に確かめてもらえます。土地を買ってから設計に入ると、建たないと分かったときに戻れません。土地を決める前の段階で、建てる側の目を一度入れておくのが確実です。
土地探しは、良い土地を見つける作業ではなく、建てたい家が建つ土地を選び分ける作業です。観点を順番に当てはめていけば、判断はそれほど難しくありません。
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